2024.08.29

中古リノベでも耐震・断熱の性能は向上できる!そのチェック方法や費用とは?

1. 中古リノベにおける耐震と断熱の重要性

昨今、リノベーションという言葉をよく耳にしますが、「リノベーション=デザイン性」というイメージを持つ方が多いかもしれません。しかし、中古住宅をリノベーションする際、耐震性能や断熱性能は非常に重要な要素です。これらの性能が低いと、安全性や快適性が大きく損なわれる可能性があるため、リノベーション計画の初期段階でしっかりと検討することが求められます。

1-1.耐震性能

耐震性能は、地震に対する建物の強度を示すものです。特に、日本は地震が多発する地域であり、建物の耐震性能は住む人の命を守るために非常に重要です。

1-2.断熱性能

断熱性能は、外気温の影響を受けにくくするための建物の能力を指します。断熱性能が高いと、夏は涼しく、冬は暖かい快適な住環境を維持でき、また、冷暖房のエネルギー効率が向上し、光熱費の削減にも繋がります。

2.耐震・断熱性能の基準

耐震・断熱にはそれぞれ基準が設けられています。この基準をもとに今の家の状態を確認しましょう。

2-1.耐震性能の基準

日本の耐震基準は、建築基準法に基づいており、1981年に施行された「新耐震基準」と呼ばれる基準が一般的に用いられています。

・旧耐震基準(1981年5月以前): 旧耐震基準では、震度5程度の地震に対して倒壊しない程度の耐震性能が求められていました。この基準は、現在の耐震基準と比べて耐震性が劣るとされています。
・新耐震基準(1981年6月以降): 新耐震基準では、震度6〜7程度の大地震に対しても倒壊しないことが求められています。この基準に基づく建物は、地震に対してより高い耐震性能を持っています。

建物の耐震性能は、耐震等級として評価されます。耐震等級は以下の3段階に分類されます。

・耐震等級1: 建築基準法で定められた最低限の耐震性能を満たす。
・耐震等級2: 耐震等級1の1.25倍の地震に耐えることができ、学校や病院などの公共建築物で求められる水準。
・耐震等級3: 耐震等級1の1.5倍の地震に耐えることができ、消防署や警察署などの防災拠点に求められる水準。

中古リノベにおいて、新築同等の基準である耐震等級3相当までの引き上げが可能です。

2-2.断熱性能の基準

断熱性能の基準は、住宅の省エネルギー性能を評価する指標である「省エネルギー基準(断熱等性能基準)」に基づいています。

・省エネルギー基準(1980年基準): 日本で初めて定められた省エネルギー基準で、断熱材の使用や窓の性能に関する最低基準を定めています。
・次世代省エネルギー基準(1999年基準): この基準では、地域ごとに異なる気候条件に応じた断熱性能の基準が設けられました。断熱材の厚さや窓の断熱性能が厳しく求められるようになり、住宅の省エネルギー性能が大幅に向上しました。

また、断熱性能は「UA値(外皮平均熱貫流率)」や「C値(相当隙間面積)」といった指標で評価されます。

・UA値: 建物の外皮(屋根、壁、窓、床など)からの熱の出入りを示す指標で、数値が低いほど断熱性能が高いことを示します。
・C値: 建物の隙間からどれだけの空気が漏れるかを示す指標で、こちらも数値が低いほど気密性能が高いことを示します。

これらの値を参考に定められたのがZEH基準(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)。新築はZEH基準5となっており、省エネと創エネ(再生可能エネルギーの活用)を組み合わせた、エネルギー効率の非常に高い住宅とされています。中古リノベにおいては、ZEH基準6~7相当までの引き上げも可能です。

3.耐震・断熱性能の確認方法

リノベーションを行う前に、まず現状の耐震性能と断熱性能を確認する必要があります。

3-1.耐震性能の確認

耐震診断は、専門の建築士が建物の構造を調査し、耐震性を評価します。具体的には、建物の図面を確認し、現地調査で構造の状態を見極め、必要に応じて補強が必要な箇所を特定します。診断結果は「耐震等級」などの形で示され、1〜3の等級があり、数値が高いほど耐震性が優れていることを意味します。

3-2.断熱性能の確認

断熱性能の確認には、サーモグラフィーを使用した温度分布の測定や、既存の断熱材の有無とその劣化状態の確認が必要です。また、窓やドアなどの開口部の気密性も重要なポイントです。特に古い建物では、窓の断熱性が低い場合が多く、複層窓や断熱ガラスへの交換が求められることがあります。いくつかの方法を組み合わせて、住宅の断熱性能を総合的に評価することが重要です。

4.耐震・断熱改修でできること

中古住宅のリノベーションでは、現状の性能に応じて以下のような耐震・断熱改修が可能です。

4-1.耐震改修でできること

耐震改修では、建物全体を強化することが可能です。以下のような方法があります。

・耐震補強工事:基礎の補強、柱や梁の追加、耐力壁の設置などを行います。
・金物補強:接合部に金物を取り付け、建物全体の一体性を高めます。
・壁補強:耐力の不足している壁に、補強材や耐震パネルを追加します。

これにより、地震に対する耐久性が向上し、安全性が確保されます。

4-2.断熱改修でできること

断熱改修では、以下のような工事が可能です。

・断熱材の追加:天井、壁、床に断熱材を追加し、外気との温度差を減少させます。
・窓の断熱化:断熱ガラスや複層窓を導入し、開口部からの熱損失を防ぎます。
・気密工事:隙間を埋めるための気密テープやシーリング材を使用し、気密性を向上させます。

これにより、冷暖房効率が向上し、快適な室内環境が実現します。

5.耐震・断熱の改修費用について

耐震や断熱の改修費用は、建物の大きさや劣化状況、使用する材料や施工範囲によって大きく変動します。

5-1.耐震改修の費用

耐震改修の費用は、一般的に数十万円から数百万円程度が目安です。例えば、基礎補強工事では50万円〜150万円程度、壁の補強工事では30万円〜100万円程度が一般的です。また、大規模な耐震補強工事では、100万円〜300万円以上かかる場合もあります。

5-2.断熱改修の費用

断熱改修の費用は、使用する断熱材や窓の種類によって異なります。例えば、壁や天井の断熱材追加工事では、1平方メートルあたり8,000円〜15,000円程度が目安です。また、窓の断熱化では、一つの窓につき10万円〜50万円程度かかることが一般的です。全体の工事費用は、50万円〜300万円程度が目安です。

まとめ

中古住宅のリノベーションでも新築同等の耐震基準・断熱基準に引き上げることは十分に可能です。耐震や断熱性能の向上は、安全性や快適性の観点から非常に重要なので、現状の性能をしっかりと診断し、適切な補強工事や断熱改修を行うことで、安心して長く住める家にすることができます。費用はケースバイケースですが、将来的な安心感や快適な住環境のためには、投資する価値があると言えるでしょう。物件探しからリノベーション、アフターフォローまでトータルでサポートする体制が整っているリノベ不動産熊本中央店までお気軽にお問合せください。

会員様限定の「非公開不動産」を閲覧したい!カンタン無料会員登録

現在123件ご紹介可能!

売主様のご要望で一般には公開していない
「非公開不動産」を会員様だけに限定公開しています。

今すぐ無料会員登録